藤井訓博議員が質問(予算審査・県土整備部)を実施

第308回2月定例会 予算特別委員会質問(県土整備部)
2011年3月8日(火)

1 わが家の耐震改修促進事業について

(1) 国の補正による耐震化改修の取り組み及び進捗状況について

 本県では、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、今後発生が予想される地震による住宅や建築物の倒壊等の被害を減少させる取り組みを一層推進するために、平成18年度に「兵庫県耐震改修促進計画」を策定し、住宅の耐震化率を平成15年の78%から平成27年には97%に引き上げる目標を立て、住宅の耐震診断、改修計画策定やそれらに基づく改修工事に対する費用の一部に補助を行っております。
 平成20年の段階で、住宅の耐震化率は82.4%に止まっており、全国平均は上回っているものの、目標達成は厳しい状況にあると考えます。
 しかしながら、民主党政権は、昨年6月に策定した新成長戦略において、平成32年までに住宅の耐震化率を95%までに引き上げる方針を示しております。さらに、具体的な支援策として、平成22年度補正予算で、耐震改修工事に対する補助金について、国として一戸につき最大30万円の増額を行ったところであります。
 県ではこれを活用し、昨年12月に戸当たり最大30万円を補助する定額補助制度を創設しました。これにより戸建住宅であれば耐震改修工事費に最大110万円の補助金が出ることとなりました。さらに申請件数の増加が見込まれることなどから、今回の補正予算により予算の増額を行っております。
 この制度の創設は、これまで独自で補助金を創設し、住宅の耐震化を進める本県にとっては追い風となるものであります。
 そこで、この補助金の創設後の進捗状況を伺います。

(2) 目標達成へ向けた取り組みについて

 先月22日にニュージーランドのクライストチャーチ市でマグニチュード6.3の強い地震が発生し、建物の崩壊により多くの犠牲者・不明者・負傷者がでていることに、心からのお見舞いと哀悼の意を表するものであります。
 ニュースを見ると、瓦礫の中で、耐震補強されたと報道されているエレベーター部分のみが残っている状況をみるにつけ、その映像は衝撃的であり、住宅等の耐震化の必要を感じた次第であります。
 我が国でも近い将来東海地震が起こる確率は30年以内に87%、東南海地震は30年以内に60~70%の確率で起こるといわれており、いつ日本で地震が発生するかもしれない状況にあり、住宅の耐震化は重要な課題であります。
 先ほど質問した今回の措置によって、本県における住宅の耐震化率は向上すると考えますが、30万円の定額補助制度については単年度措置であります。
 しかしながら、阪神・淡路大震災を経験してきた本県としては、平成27年に住宅耐震化率97%の目標達成に向けて、更なる取り組みが必要であります。
 また、今回のニュージーランドの地震のニュースで、瓦礫のなかで、エレベーター部分だけが残された映像を見て、私が建築物の耐震化の必要性を感じたように、県民に耐震化の必要性を目で訴えるような広報活動も必要ではないかと考えます。
 そこで、今後の97%という目標達成に向けて、県民が真に耐震化を必要と考える広報活動のあり方も含めてどのような取り組みを行うのか方針を伺います。

2 公共交通の確保による地域の活性化について

 人口減少とマイカーの普及により地方の公共交通は、都市部・郡部を問わず衰退傾向が顕著になっております。バスや鉄道などの公共交通が失われれば、地域の活力が低下するだけではなく、地域社会の維持さえ困難になりかねない状況となります。地域住民の生活の足を守ることは、地域そのものを守ることにつながることから、今後も行政として兵庫県全般を見渡した広域的な支援を行うべきと考えます。
 その一例として、昨年11月に、神戸電鉄は、赤字が続く粟生線(鈴蘭台-粟生、29.2km)について、来年度中に存続か廃止かを判断する方針を固めたとの新聞報道があります。
 神戸電鉄粟生線の輸送人員は、平成4年度の1420万人をピークに減り続け、平成20年度は730万人と半減している状況を受けて、平成21年11月に神戸電鉄と沿線3市を中心に「粟生線活性化協議会」を発足しました。この協議会では輸送人員減少に歯止めをかけるため、国庫補助を活用した利用促進策を進めております。
 同線は、朝と夕方は高校生が多く利用し、三木、小野市内の県立高校5校だけでも、約2千人の生徒が市外からの通学に使っており、もし廃線となれば、これだけの生徒を運ぶには、代替手段としてバス利用が考えられるが、県道・国道の現在の交通事情や道路状況を考えた時、現実的には、困難と考えられます。また、仮に代替バスへ転換した場合を想定しても、これまでの全国の例を見ると、鉄道運行時より所要時間が長くなること、定時性の確保の問題、さらには運賃の値上げなどの理由から、転換後の鉄道利用者の約4割程度しか利用しない現況となっており、そして、最悪のシナリオでは、利用率が下がることによる減便が繰り返され、地域公共交通が消滅するという現状もあります。地域にとっては粟生線の存続は大きな問題であり、企業努力にも限界があり、県としても、関係市町との連携を図り、その存続について、早急な対応が求められると考えられます。これは、ほんの一例であり、今後、鉄路、道路、海路を含め、同様の課題が顕著にあると考えます。
 また、県は、第2次行革プランで、過疎などにより公共交通機関が未整備な地域以外の市町が運営するコミュニティバスの運行に対する支援を見直しております。しかし、都市近郊の団地でも、高齢化が進み公共交通手段がなく、「買い物難民」も生まれる状況もあり、今、なぜ全県下でコミュニティバスが数多く運営されているのかという運行目的・状況を考えた時、一律的な判断ではなく、実情に応じた対策が求められていると考えます。
 今回の通常国会に、政府は、交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために交通基本法案を上程する方針であり、それを踏まえ、国においても人口減少とマイカーの普及により衰退傾向にある地方の公共交通を立て直すため、財政再建に向け政策支出額を前年度並みに抑え込んだ来年度予算案に、従来の施策を抜本的に見直し、新たに「生活交通サバイバル戦略」として前年度より4割増となる総額305億円を確保しております。
 補助対象も従来のバス、鉄道、など、交通手段の補助制度に事業者が申請し、補助を受けていたものを、今後は事業者や住民、自治体などによる協議を経て策定したプランに基づき実施される取組が補助対象になることから、県としても、その対象となる施策については、関係市町とも連携しながらプランを策定することが求められます。
 そこで、県として地域住民の移動手段を確保し、生活生命を支えるために、公共交通機関の確実な確保と充実を図ることが必要であると考えますが、これに対し今後どのような方針で取り組んでいくのか所見を伺います。

NEWS

一覧を見る