吉本誠議員が質問(予算審査・企画県民部2)を実施

第308回2月定例会 予算特別委員会質問(企画県民部2)
2011年3月2日(水)

1 人事制度について

(1) 職員の士気向上について

 職員の士気については、これまで様々な観点から指摘されてきたところです。例えば、行革による人員削減や職員の待遇面での低下、また、職員の不祥事に際して、これは服務規律の徹底という観点ですが、職員の士気というかモラルの向上などが叫ばれますし、時に厳しい公務員バッシング等との関係でも指摘されると思います。
 当局の人事に関する重要施策においては、豊かな人間性や高い倫理観、職務に対する使命感・責任感の醸成、政策形成能力の向上を図るための職員研修を実施し、職員の意識改革及びその能力開発に努めるとともに、職員一人ひとりが高いモチベーションを保ち、主体的かつ意欲的に職務に精励できる働きがいのある明るい職場づくりを推進することをうたっています。人事や人材育成に関する記述は、どうしても抽象的にならざるを得ず、その成果がどうなっているのか検証が難しい分野であります。私達議員は、普段から県庁職員、特に幹部の方と頻繁に接触する機会があり、それぞれが自らの活動の積み上げの中で県庁や職員の仕事ぶりついての考えを持っているのではないかと思いますし、また、地元の関係者から、例えば、どこそこの部署は対応が良いとか悪いとか、対応に出てきた職員の態度が気に入らないとか、様々な声が届くわけです。
 第2次行革プランでは、一般行政部門で、平成30年までに平成19年度職員数の概ね3割の定員削減約2,700人を削減予定となっており、職員の中には、事業量の縮減がない中で人員の削減が行われているため仕事量が増大し大変であるとか、新規の案件に予算が付かないためモチベーションが上がらない、また、真意の程は明らかではありませんが、本俸が下がった分を必要のない超過勤務で補なおうとする人がいる等も耳に入ってきます。
 これらに対しては、厳しい視点からみれば、公務員は何を甘いことを言っているんだ、雇用があるだけましである、民間、特に中小企業はもっと厳しい状況にあり給与も随分下がっている等の反論があり得ると言えます。
 職員の資質とモチベーションは、結局のところ県民サービスに跳ね返ってくる問題と言えます。第2次行革プランの実施は、内からも外からも厳しい環境の中で行わなければならないわけですが、当局として、職員の士気向上にどのように取り組んでいくのか、ご所見をお伺いします。

(2) 行政特別研修について

 県の実施する職員研修事業は、自治研修所が行う一般研修及び特別研修、また、派遣研修としては、総務省自治大学校をはじめ国内の各省庁・大学、民間企業等に派遣する国内研修、海外の在外公館や大学等に派遣する海外研修、その他、各部局等が行う研修、職場研修、自己啓発の支援等があります。
 行革により給与等の待遇面での改善が見込まれない中で、職員の意識改革と能力開発に努めるためには、これらの研修を有効に活かしていかなければならないと考えます。
 しかし、これまた行革の影響と考えられますが、研修事業予算が毎年削られている状況にあります。平成19年に予算ベースで約1億4千7百万あった研修事業予算は、20年には、約1億6百万に減少、23年度予算案では、約8783万円にまで減少しており、この5年間で約6,000万円、率にして約4割も削減されています。
 どのような組織でも共通するかもしれませんが、組織が実施する研修は、その組織が必要とする人材の育成を図るということを主眼においているのだと思います。しかし、同時に研修を受ける側から見れば、その研修が自らの自己実現にどのように役に立つのかということが重視されるのではないかと思います。そのような意味から考えた時、近年の研修事業費の削減は職員の士気向上という観点から見た場合、どのような影響を与えているのか気になるところです。
 当局としては職員の士気向上に様々な観点から取り組んでいると承知しておりますが、その効果がどうなっているのか検証していく必要があるのではないかと思います。私は、県職員の様々な役職の方から、県庁内の様子について聞く機会が多くありますが、その中で、どうも気になるのは、管理職になることに魅力を感じていない職員が増えつつあるのではないかということです。その理由として考えられることは、財政上の理由等により、過去に比較して、課長級の権限で予算等の差配ができる事業が減少していること、また、行革により、管理職の給与削減率が非管理職に比べて高いため、超過勤務手当の付く非管理職の職員と管理職の給与との間に逆転現象が生じていること、更には、部下のメンタル面での管理に対する負担感等も考えられます。つまり、責任は負うけれど、それに見合った権限はないし、給料も下がるのであれば、わざわざ管理職になる必要などないし「割に合わない」とする、ある種消極的な姿勢が一定程度あるのではないかということです。
 ちなみに、県の管理職は、7級職以上で、7級職の職員は、副課長や主幹、地方機関の副所長などを担っており、本庁の課長職は8級、局長は9級、部長や県民局長は10級職と続きます。
 そのような現状を示す一つの指標として、行政特別研修生の選考試験応募者の減少があるのではないかと推察します。行政特別研修については、様々意見がありますが、この研修は、自治研修所が実施する特別研修の一種で、県政遂行に必要な政策企画能力等と幅広い見識の習得を目的としたもので、職員間では「ギョウトク」とも言われ、幹部職員への早期選抜につながるこの研修を受けるための選考試験は大変狭き門となっています。この行政特別研修生選考試験の過去5年の平均倍率を見てみると、32.6倍にも達しており、中には40倍近い倍率になっている年もあります。
 この選考試験は、30代半ばから45歳以下の主査又は地方機関の課長補佐の職にある者が受験でき、当局としても対象職員に対し受験を奨励しているとる承知していますが、事務職、技術職の合計受験者は、平成19年度は1,440人、平成20年度は1,342人、平成21年度は1,282人、平成22年度は1,246人となっており、年々受験者数は減少している現状にあるわけです。管理職になることだけが県庁職員の最も重要な目標でないことは大いに理解しておりますが、狭き門の中多数の受験者がいることを鑑みれば、多くの職員は引き続きこの研修を重要視しているのではないかと推察できますし、一方で様々な理由から受験者数は減少してきているわけです。
 そこで質問ですが、当局として、行政特別研修の意義と目的をどう考えているのか、また、受験者数が減少しているような現状についてどのように認識しているのか、ご所見をお伺いします。

(3) 早期退職制度について

 第2次行革プランでは、早期退職の実施により、24年~30年までの7年間で30億円の効果額を出すことを想定しています。この早期退職制度の詳細は分かりませんが、高齢期における職員の働き方の多様な選択肢を確保すると説明していることから、勧奨退職制度の年齢を実質的に引き下げて行うことが読み取れます。
 本県では、過去、平成10年度~11年度の2年間、選択退職制度として、45歳以上の職員の選択退職制度を実施しました。この制度は、職員の年齢構成における歪みを是正し、組織の活性化及び人事の刷新を図るとともに、職員のライフプランを支援することを目的とし、例えば、45歳以上50歳以下の者については、退職手当の計算の基礎となる給料月額の加算を30%とするなど、退職金の割り増しを行いました。
 早期退職制度は、職員の希望に対応する制度ですので、その制度の利用を希望する職員一人一人によってその制度の持つ意味は異なってくるのだと思います。人生80年と言われる今日、定年後の人生をどのように過ごすのかは大変大きな問題です。40代や50代であれば、これまでの経験を生かして再就職したり起業したりすることがまだ行いやすい環境にあるかもしれませんが、定年まで働いた後に、仕事面で新しいことに挑戦するのは少し困難になるように思います。そのような意味からは、職員の働き方の多様な選択肢を確保することは重要なことだと考えます。
 そこで質問ですが、この度の早期退職制度の制度概要はどうなっており、対象人数は何人くらいを想定しているのか、また、高齢期の職員が対象となっていますが、高齢期に限定した理由についてお聞かせ願いたいと思います。

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