吉本誠議員が質問(予算審査・企業庁)を実施

第308回2月定例会 予算特別委員会質問(企業庁)
2011年3月8日(火)

1 尼崎臨海地区について

 尼崎臨海地区の整備については、平成8年に尼崎臨海西部拠点開発事業基本計画を策定し、平成18年5月から産業用地として分譲を開始しました。
 分譲計画面積は15.4haで、現時点で14.8haが分譲済みであり、分譲済率は96.1%となっており、現在21社に分譲を行っています。分譲面積の約半分を大型案件であるパナソニックプラズマディスプレイ(株)が占めてはいますが、分譲を開始して5年でここまで来たわけですので、その意味では大変早いペースで分譲が進んだといえ、県内の他の産業用地が苦戦する中で、阪神間という地の利も大いにあったわけではありますが、企業庁の事業としては良い結果が残せた事業ではないかと思います。
 また、第2次行革プランにおいて、平成25年度までに企業庁の産業用地全体としては分譲計画面積の約74%の分譲を目標としている一方、尼崎臨海地区だけでは100%という高い目標となっています。そういう中で、現状としては、残り1区画、面積にして0.6haが残っているだけであり、かなり前倒しで達成できそうな期待もあります。引き続き完売に向けて頑張って頂きたいと思います。
 そこで、質問ですが、尼崎臨海地区の分譲が非常に早いペースで進んだ要因を、当局としてどのように考えているのか、ご所見をお伺いします。

2 地域整備事業会計について

 尼崎臨海地区の分譲は順調に進んだわけですが、では、この尼崎臨海地区の収支はどうなっているのか知りたいところです。結果は、わからないということです。
 ご承知の通り、企業庁の地域整備事業の会計は、阪神地区、播磨地区、淡路地区と県を三つの地区に割った会計区分で行っており、例えば、阪神地区なら、尼崎臨海地区、潮芦屋、神戸三田国際公園都市の三つのプロジェクト等を合算した単位で会計が行われているわけです。ですので、尼崎臨海地区にどれだけの経費がかかり、売上がどのようなものであったのかという単純なことも、尼崎臨海地区単独ではわかりません。
 企業庁は、議会におけるこれまでの答弁で、「地域整備事業会計については、平成16年度において、収益的収支の設置、仮勘定の精算など会計制度の抜本的な見直しを行ったところである。この見直しに当たっては、第1点として、公営企業として経済性を発揮することは当然であるが、第一義的には地域振興という公共性を重視する必要があるということ。第2点として、従来から県土の特性等を踏まえ、阪神、播磨、淡路の三つの地域単位で投資や収支のバランスを考慮しながら事業を展開し、会計処理も行ってきたという理由から、三つの地域ごとに過年度の収益・費用などのデータに今後の見込み額を加えて長期の収支見通しを立てた上で、地域ごとの原価率を算定し、経営状況を明らかにしたところである。仮に、現段階でプロジェクトごとで会計処理を行うシステムに変更したとしても、過去から進めてきた現行のプロジェクトについては、過去の、例えば潮芦屋の例でいくと、事業着手した昭和46年から平成15年までの30年余りの長い期間の費用などのデータがないため、プロジェクトごとの原価率や収支などの算定が不可能で、会計システム変更の改善効果が期待できないと考えている。」と答えています。
 確かに、地域整備事業は昭和40年代や50年代に事業着手したものもありデータの問題などの難しい面もあるとは思いますが、尼崎臨海地区やひょうご情報公園都市は、平成に入ってから企業庁として事業着手しており、それほど長期間にわたる事業とはなっておりません。
 例えば、尼崎臨海地区は、先に述べましたように、平成8年基本計画策定、平成18年分譲開始され、まもなく完売しそうなペースで分譲が進んでいます。その要因については、先にご答弁いただいておりますが、事業ごとの収支を明確にすることで、県民への説明責任を果たすとともに、会計面での要因分析も可能となり、他の事業の分譲促進に生かしていくことができるのではないかと考えます。
 また、ひょうご情報公園都市については、今年度よりE工区約20ヘクタールを今年8月に引き渡しが可能となるよう整備を進めておられ、北摂三田第2テクノパークを初め周辺に競争相手となる産業用地が多い中、競争力のある価格を設定して早期誘致を実現されようとしています。その価格設定については、事業ごとの会計という観点で考えれば、いろいろ議論があるかと思います。事業ごとの収支を明確化することにより、今回の価格設定のような新しい取り組み等の是非も含めて、会計上の課題が明確化され、将来にわたる健全経営の確保につながるものと考えます。
 そこで質問ですが、尼崎臨海地区やひょうご情報公園都市のように、比較的近年事業を開始した事業については、県民への説明責任を果たす観点からも、他の地区との合算会計から分離して、個々に会計を行っていくべきだと考えますが、当局のご所見をお伺いします。

3 地域整備事業の今後について

 企業庁が行う地域整備事業は、新たな住宅・産業団地の開発は、原則として凍結しており、第2次行革プランでも示されたとおり、平成30年度末に分譲進捗率約90%を目指し、既に開発済み団地の分譲促進等に取り組むとされています。つまり、とにかく、売って売って売りまくることに集中するとのことです。
 企業会計で行う地域整備事業を取り巻く環境は、全国的にも厳しいものがあり、土地造成事業関連の公営企業を行っている府県は年々減少し、平成22年度現在で18府県になっていると聞いております。また、組織としての再編も進んでおり、平成17年3月には、和歌山県企業局が廃止され、平成18年3月には、国内初の大規模宅地となった千里ニュータウンや泉北ニュータウン等の開発を手がけた大阪府企業局、秋田県企業局、青森県公営企業局が廃止されました。さらに、平成21年3月には、福井県企業局が廃止され、それぞれの業務は、知事部局に一般会計や公営企業会計の形で事業移管されております。
 平成30年度末の経済状況がどのようになっているか現時点ではわかりませんが、成熟社会、人口減少社会の中で、土地需要が大幅に増加しているような状況はなかなか想定し難いのではないかと考えています。
 いずれにせよ、地域整備事業を取り巻く環境は厳しい訳ですが、当局として、今後の地域整備事業のあり方についてどのように考えているのか、ご所見をお伺いします。

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