岡やすえ議員が質問(予算審査・企画県民部1)を実施

第304回2月定例会 予算特別委員会質問
(企画県民部(知事室、政策室、県民文化局)、部外局)
2010年3月4日(木)

1 政策室の役割について

(1) 県政の重要施策について

 第304回定例県議会知事提案説明がこの2月17日に行われました。新年度の重点施策に向けて、安全安心の兵庫、生活優先の兵庫、環境優先の兵庫、産業立県の兵庫、交流促進の兵庫、自立共生の兵庫等について、政策が説明されました。
それぞれの施策がこと細かく説明されましたが、部局横断的な施策展開や必要な部局間の連携を期待させる説明はほとんどなく、相変わらずの縦割りでの行政展開との感がどうしても否めませんでした。
 例えば、平成13年度から推進されている「健康ひょうごの推進」の中には、県民の健康増進に向け、ごはん、大豆、減塩に焦点を当てた「ひょうご食の健康運動」を推進するという項目があります。一方、「農林水産業の振興」については、県内の食料自給率の向上と担い手育成やブランド戦略の推進等、全体的な取り組みは列記されていますが、食の健康運動に取り上げられた「大豆の生産」について、どう取り組むのかの具体的な内容は読み取れません。
 輸入にその多くを頼っている大豆については、遺伝子組み換え作物に対する消費者の懸念は一向に払拭されておらず、スーパー等では「遺伝子組み換え大豆は使っておりません」の表示が一般的です。私は、以前から食の安全・安心のためにも、また学校における食育推進のためにも、「学校給食への計画生産」を提唱し、要望を続けてきました。過去の本会議や決算、予算等その度毎に取り上げて来ました。
 県民局単位で、圏域の学校給食に年間どれだけの大豆が必要かを把握し、それに応じて計画的に生産する、そしてそれを学校給食に供給する、こうすれば大豆の自給率は向上します。施策として、農政環境部と教育委員会が連携し、市町、JA等、関係機関の協力の下に取り組むのです。
 先般、民主党政権が目指す「農家に対する戸別所得補償制度」をテーマに、猪名川町内で国会議員とともにタウンミーティングを開催しましたが、その時、「大豆の計画生産」について、私から参加された農家の方々に意見を聞いてみました。「学校給食に供給できるのであれば、これから生産したい」という意見が多く、生産者の意欲を感じましたが、一方で、この取り組みについて、地域にはほとんど伝わっていなかったのだと、大変残念に思いました。長年に亘る議会での発言も、議会の中だけに終わっていることを改めて認識し、地域への情報伝達のあり方についても考えさせられたタウンミーティングでした。
 このほかにも、住宅政策や交通政策などもそうですが、これらの課題に対しては、既存の行政分野の枠を越えて、全庁的に取り組むことが必要であります。
 そこでまず、県政の重要施策の中で、特に部局を超えて、互いに連携して取り組むべき施策として、どのようなものがあると認識しているのか、また、これらの施策にはどのようなマネジメントが行われているのか、具体的に説明願います。

(2) 日本型食生活推進への役割について

国も県も日本型食生活を11年も前から進めてきているが、これは生活習慣病の低年齢化等、何かと課題が明らかになってきた昨今の食生活を是正し、現代病を誘発するともいわれる食生活の現状を改めようとするもので、国の食育基本法のもとに県も条例制定し、各自治体にも食育計画の策定を義務づけている。このような中で今回、学校向けとして米粉パンの導入に小麦パンとの差額約10円の半額を負担し、ほぼ50トン分の需要拡大を見込んでいる。しかし、日本型食生活の基本はごはんであり、ごはん食とパン食とは副食が全く異なり日本型食生活とは相入れない。米粉であってもパン食はパン食であり、学校給食にできるだけごはん食導入を進めようとしている現場の努力をどう認識しているのか。地元川西市では、新年度から週5回のごはん給食がやっと導入されることになったが、実現までには私自身もかなりかかわってきた。需要拡大のため、学校給食をターゲットにするのは余りにも安易なやり方ではないか。米粉の需要拡大のためには一般市場での販路拡大等、総合的な取り組みに知恵をしぼるべきであり、子どもの食育にも影響の大きい、これらのテーマはまさに企画県民部としての洞察力の必要とされる課題だと考えるがどうか。

(3) 政策室の役割について

 事業部局同士でも、しっかりとマネジメントができて、連携が機能するのであれば、それはそれで良いのですが、施策によっては、この企画県民部の政策室が、もっと主導的に全体の調整やマネジメントの役割を担うべきではないかと考えます。
 企画県民部の施策体系図には、「県政策の総合的推進」として、「政策の企画・総合調整と地方分権の推進」と位置づけられています。各部局から提出された政策を羅列するだけではなく、各部局の事業の総合調整や、ダブりチェック等のシンクタンク機能を果たすべきではないのかと考えます。このような機能を政策室が担当していないというのであれば、どこがこの役割を担っているのでしょうか。
 部局横断的施策の推進方策については、まだまだ工夫や改善の余地があると考えますが、そこで、部局横断的施策をより一層効果的に推進することについて、どのような問題意識を持っているのか、政策室に権限が付与されていないため、役割が果たせないのなら、解決すべき課題は何なのか、また政策室として、どのような役割が望ましいと考えているのか、所見を伺います。

2 県民交流広場事業について

(1) 県民交流広場事業の活用実態について

 法人からの超過課税の充当事業は、加西にあるフラワーセンターをはじめとする県下各地でのCSR施設整備事業に始まり、小学校区を単位に導入されたスポーツクラブ21事業、そして現在展開中の県民交流広場事業と続いてきました。
 平成22年度からの新たな5年間では、95億円の財源を少子化対策へ重点的に充当するとされており、今後ワーク・ライフ・バランス達成への支援や、保育所整備等きめ細かな対策を展開しようとしていることに対しては、少子化対策の強化を求め続けてきた立場から、大いに評価し、敬意を表するものでありますが、ここでは、県民交流広場事業について伺います。
 地域のコミュニティづくりを目的として、小学校区を単位に展開する県民交流広場ですが、県下での取り組み状況も、今年度で県内の全小学校区829のうちの523校区、実施率63%に達したとのことです。具体的な活動としては、子育て、防犯、環境・緑化、生涯学習、文化、まちづくりなど多彩な分野の活動が期待されるところですが、そこで、県下の県民交流広場事業設置後の活用実態について、どのように認識しているのか伺います。

(2) フォローアップ事業の取り組みについて

 現下の高齢社会において、閉じこもりがちの人々が増加している中で、県民交流広場の活用策として、介護予防の視点に立った活動の場としての機能を求める声があります。今、地域には多彩な趣味を持つ人々が活発にサークル活動を展開していますが、気の合う仲間だけが活動するというのではなく、それまで地域とのつながりがほとんどなかった定年退職者などを一人でも多く地域社会に引っ張り出すことは、地域のコミュニティづくりにとって大変重要ですし、また、その人の生きがいづくりにもつながり、ひいては要支援者や要介護者の増加をくい止めることになります。
 地域によっては、孤立しがちな高齢者のための様々なイベントで積極的な活動を展開しているケースも聞きますが、中には単なる貸室、貸館としての利用にとどまっているケースもあるやに聞きます。
 スポーツクラブ21事業についても言えることですが、事業実施から一定期間が経過し、活動がしっかりと定着していることが、事業成果として評価されるべきです。県民交流広場事業については、アドバイザーの派遣をはじめ、地域コミュニティ・アワード2010や地域交流フェスタの開催、広場等のネットワーク化やシニア世代の広場デビュー支援などとして、2,196,060千円が計上されていますが、これら、フォローアップ事業として、どのような視点、観点から取り組んでいこうとしているのか、具体的に伺います。

3 行政・NPO協働事業助成について

(1) 行政・NPO協働事業助成の成果について

 ひょうごボランタリープラザでは、地域の課題解決や活性化に向け、行政とNPOの協働を通じて、より高い効果を得ることができる事業を推進するため、助成プログラムを実施しています。NPOと行政の協働事業といった一昔前には考えられなかった取り組みが、全国各地で進められていますが、本県が実施している「行政・NPO協働事業助成」は、NPOから行政への提案作成を支援するという思い切ったアイディアと、ひょうごボランタリー基金を活用した3年間の段階的助成という他に例のない仕組みで注目されてきました。
 そこで、平成14年度の制度創設以来、これまでに延べ68件の活動がこの助成プログラムの支援を受け、実施されていますが、これらの活動について、県政の推進にどのような成果が上がっていると評価しているのか、できる限り具体的に答弁願います。

(2) 行政・NPO協働事業助成制度の改善について

 この事業は、第1年次にNPOが事業企画を提案し、第2年次にNPOが行政の協力を得て事業化計画の立案に当たり、第3年次でNPOと行政が事業を軌道に乗せるという、3つのステップで進めていくことを前提としています。
 確かに、何事も段階を踏んで進めていくことは大切なことであります。しかし、この事業による支援を受けて活動している団体から、いくつかの問題点を聞きます。例えば、1年目2年目は企画・計画の年となっており、実際の活動を1年目から始めることができない、また年度ごとに選考委員会による審査がありますが、申請及び審査の機会が年1回であるため、日程的に活動が制約されてしまう、さらには、審査・決定を受けた当初の計画に縛られ、状況に応じた活動内容の変更が困難である、といった内容です。
 システムづくりを目的とした取り組みには、それなりの時間が必要です。例えば、認知症をサポートするキャラバンメイトが広く啓発活動を行うためには、多くの地域資源を巻き込んだきめ細かな計画づくりから取り掛からねばならず、民主導でのシステムづくりは短時間で効果が期待できるものではありません。しかし、様々な思いや考えを持った方たちが集まって、行動を起こそうというのですから、「鉄は熱いうちに打て」の諺もあるように、盛り上がりのタイミングに乗って活動するということも大事です。
 そこで、活動の実態に即した事業制度の見直しを図るべきではないでしょうか。単発の事業展開を目的とする場合は単年度事業で、仕組みづくり等の時間を要する事業は3年間でというように、柔軟な対応を、また3ヵ年で企画から活動定着へと導くというのであれば、3ヵ年の活動全体に対して一括して助成決定を行い、定期的に進捗状況をチェックするという方法も考えられます。そうすれば、行政の会計年度や事務日程にとらわれず、NPO自身のペースで、より効果的な活動ができるのではないかと考えますが、事業制度の改善について、当局の所見を伺います。

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