岡やすえ議員が質問(予算審査・健康福祉部)を実施

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (健康福祉部)
2010年3月5日(金)

1 認知症検診の導入等について

(1) 認知症検診の必要性について

 高齢化社会へと進んでいく現在、大きな課題とされているものの一つが「認知症」です。今後、認知症高齢者も急増することが見込まれることから、地域で助け合い、支え合う体制を構築することが重要になっており、県としても、具体的な施策の実行に取り組んでいるところですが、これらを早期発見、予防していくことが有効な対策になります。特に「認知症」は高齢者だけの問題ではなく、社会的にも影響の大きい「若年性認知症」という問題もあります。
 認知症を早期に発見し、早期に対応することによって、混乱を防ぎ、認知症の進行を遅らせ、地域で安心して暮らせることも可能になります。
 しかし、認知症の初期段階で「病気」とは気づかぬまま放置し、症状が進行してしまったり、家族や知人が「年のせい」と考えて医療機関に受診させなかったり、初期症状に気づいても、どうしたらいいかわからずに、そのままになっていることが実情です。
 また、地域の開業医に「物忘れ外来」の開設が必要だと、これまでから主張してきましたが、「物忘れ外来」の開設が認知症患者の増加に追いついていない状況があります。
 このような状況を打開するためにも、病気を初期段階で発見する検診制度のあり方について、県として検討することが必要な時機を迎えたのではないでしょうか。75歳以上の高齢ドライバーが運転免許を更新する際には、記憶力や判断力を調べる検査が義務づけられていますが、このように、結核や肺がん、生活習慣病などを早期発見するために各市町が行っている住民健康診断の際に、例えば、診断料を65~74歳なら一部有料、75歳以上なら無料というように、検診を受ける仕組みができれば、受診率が格段に向上し、初期段階での適切な対応によって、多くの人が救われます。
 認知症は、特にプライバシーの保護に気を使わなければならない病気ですので、その点も課題であると認識していますが、認知症検診は大変有効な対策であると思いますので、その必要性について、県当局としてどのように認識しているのか、伺います。

(2) 物忘れ外来の拡大について

 認知症の早期発見に有効な「物忘れ外来」ですが、その拡大を図るためには、やはり、地域のかかりつけ医を巻き込んでいくことが必要です。ちょっとしたことでも気軽に相談できる、まちのお医者さんは、認知症の第1発見者となり得ます。
 しかし、現状は、物忘れ外来が必ずしも拡大しているとはいえません。そこで、かかりつけ医にとっての何らかのメリットも考えていく必要もあると思いますが、物忘れ外来の拡大について、県当局としての所見を伺います。

(3) 地域の見守り体制の構築への取組について

 さらに、早期発見につながるもう一つの取り組みが、地域での見守り体制の構築です。特に介護保険利用前の段階での発見が大切で、高齢者のみの世帯、昼間独居世帯への見守りが重要です。その地域で暮らす、また働く様々な人々が協力する見守り体制を、どのように構築していくのか、このこともしっかりと進めていかなければなりません。
 そこで、地域の見守り体制の構築への取り組みについて、現状及び今後の対応を伺います。

2 消費者行政の推進について

(1) 各市町におけるセンター設置及び相談員の配置について

 昨年9月、国において消費者庁及び消費者委員会が発足し、地方における消費生活相談体制を充実するため、「地方消費者行政活性化基金」が各都道府県に造成され、各地方自治体は、この基金を利用し、地方消費者行政の強化に努めることとなりました。
 消費生活相談については、住民に身近な市町がその主体であり、多様化、複雑化する消費生活相談に対応するためには、専門的知識と実務能力を備えた相談員の確保等、市町における相談体制の充実・強化が求められます。
 県では、「ひょうご消費生活相談プロフェッショナル塾」を実施し、市町の相談員確保を支援するとしており、その成果が期待されるところですが、市町の相談体制への取り組みに温度差が見られる中で、消費者問題の解決の格差解消に取り組まねばなりません。
 人材養成としては、県が消費生活相談のプロとして、21~23年度で約90名を養成するとしていますが、市町がその人材を配置するためには相当の予算が必要です。それゆえに、市町によっては、人員の配置が十分でなかったり、雇用形態も正規雇用ではなく、非常勤職員となってしまうのではないかと懸念します。
 そこで、各市町におけるセンターの設置及び必要な相談員の配置について、特に相談員については、その身分の扱いや雇用形態も含めて、県として、どのような見通しを持っているのか伺います。

(2) 平成23年度以降の配置について

  県では、地域住民が主体的に消費者力の習得・向上に努め、消費者トラブルの未然防止・拡大防止を図るため、消費者教育・啓発活動を支援する組織として「地域消費者ネット」を創設するとしています。
 その構成員として、消費者問題に取り組む団体やグループが想定されています。消費者協会や生活学校連合会等は既に早くから県下で全県組織が結成され、消費者活動を展開していますが、NPOや自治会、婦人会、老人クラブ、子供会等によるネットの結成によって、具体的にどのような機能を期待しているのか、単なる情報共有のネットか、何かそれ以上の役割を持つのか、またこのネットには警察等も参加するのか、伺います。
 また、この「地域消費者ネット」には、情報収集・提供、連絡調整、事業企画支援等を行う「消費者ネットコーディネーター」を生活科学センター等に配置するとしていますが、そこで、このコーディネーターには、どのような職種の人をその任に当てようと考えているのか、また、配置期間は平成22年度とされていますが、平成23年度以降についてはどうしようと考えているのか、併せて所見を伺います。

3 地域における保育環境の整備について

 幼稚園では定員割れが続き、片や保育所では受け入れ定員がなかなか増えないという状況にある中、待機児童の解消策として、近年、企業内保育所の設置が広がりつつあります。しかし、電車やバスなど、公共交通機関を利用して通勤する場合、ラッシュ時の子連れ通勤は大変で、特に都市部での利用には困難が伴います。
 このため、待機児童の多くを占める0歳児から2歳児を自宅近辺で預けられる保育の場を増やす方策として、県では保育士や看護師が携わり、保育所との連携などフォローアップ体制を構築の上、自宅で少人数の子どもを引き受ける「家庭的保育事業」、いわゆる「保育ママ事業」を推進してきました。
 昨年度は、国の補正予算により「安心こども基金」が造成され、これを原資とした様々な取り組みが始まりましたし、さらに、来年度からは、法人超過課税を財源とした少子化対策を実施するとされています。今後、ワーク・ライフ・バランス達成への支援や、保育所整備等きめ細かな対策を展開しようとしていることに対しては、少子化対策の強化を求め続けてきた立場から、大いに評価し、敬意を表するものであります。
 しかし、待機児童解消についての来年度予算の内容を見ますと、分園保育推進事業など、保育サービスの拡大を図るための取り組みが盛り込まれていますが、先ほど紹介した、保育ママ事業が反映されていません。この保育ママ事業は、保育ニーズの受け皿として大変有効であることから、少子化特別委員会でも、その事業拡大を強く要望してきたところであり、今後、是非とも取り組んでいただきたいと思っています。保育ママを地域に数多く設置することにより、自宅の近くでの保育が可能となり、ワーク・ライフ・バランスの達成にも有効と考えますが、保育ママ事業の展開について、どのように考えているのか、所見を伺います。

4 こども家庭センターの機能強化について

  昨年11月、三田市で5歳女児が親からの虐待の疑いにより死亡する事件が発生しました。通っていた幼稚園からの連絡をきっかけに、一時、川西こども家庭センターが保護していましたが、センターが自宅に戻してから約4ヵ月後のことでした。
 県では、一昨年の5月に伊丹市において5歳女児が死亡する事件が発生したことを受けて、外部の専門家で構成する「児童虐待事例検証委員会」を設置し、家庭復帰に向けた判断は適切であったかなど、これまで県としての対応状況等について検証を行いました。そして、この検証結果に基づき、親等への指導や地域での相談体制を拡充するなど、県下の児童相談体制を強化しました。とりわけ、川西こども家庭センターについては、阪神地域での児童虐待相談件数の増加もあり、組織の整備も行われました。
 今回の事案を受けて、川西こども家庭センターでは「相談調査調整員」として、職員1名の増員が図られることになり、今後のより強力な取り組みが進められるとのことですが、虐待を疑わせる事例については、平素のきめ細かで定期的な関係者間の連絡調整検討会の開催が必須であります。
 再発防止の決め手にこれという妙案はないのかも知れませんが、最も大切なのは、いかなる細かな情報も収集できるアンテナが張り巡らされているか、また地域資源をどういう形で活用するのかだと思います。個人情報保護の課題もクリアしなければならなりませんが、地域の特色を生かしたネットワークをどう形づくるのかなど、異なった視点で取り組むことも必要ではないかと考えます。このことは、今後の大きな社会問題であるDVや高齢者虐待への対応にも通じることであります。子どもの虐待死が頻繁にマスコミに取り上げられる昨今、再発防止のためのこども家庭センターの機能強化等に向けた今後の取り組みについて、今一度、所見を伺います。

5 高齢者の肺炎予防ワクチン接種について

 高齢者の死亡の大きな要因にもなっている肺炎に関して、その予防ワクチン接種について、通告していたが、時間の関係もあり、検討していただくことを要望しておく。

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