石井健一郎議員が質問(予算審査・財政状況)を実施

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (平成22年度の財政状況)
2010年3月3日(水)

1 法令外分担金の拠出について

 さて、昨年の9月の定例県議会において法令外分担金の拠出に対する県の考え方についてお尋ねしたところ、牧部長より「本県では、約300の団体に対して法令外分担金を拠出をしている。これまでも廃止・縮減の要請を行い効果も上げてきているが、今後国の動向も注視しながら、それぞれの団体の役割を検証し、分担金拠出の必要性を検討するとともに、分担金を拠出する場合も適正な拠出につとめる。」との答弁を頂きました。また、その質問の1ヶ月後井戸知事からは平成22年度予算編成にあたっては「法令外分担金については原則拠出しないこととする。」と発表されています。
 都道府県が法令に基づかずに分担金を拠出している、いわゆる法令外分担金を拠出している団体に対しては全国的に一時的な徴収中止や分担金の縮減を要請する流れとなりつつあります。前回も指摘したとおりこのような団体には、必要性のある団体もあるでしょうが、必要以上に内部留保金や繰越金を蓄えている団体、その役割を終えた、あるいは縮小する必要のある団体、またその報酬が一部の知事よりも高いと指摘されていたり、天下りや談合の温床となっていると指摘されている団体があり、今後、これらの団体に分担金を拠出するためには、昨今の社会情勢や世論からすれば、より丁寧な説明責任が問われています。さらに、我が県では県民に負担を求める行革を推進していることからもより厳しい拠出の基準、より丁寧な県民への説明が求められていることも前回の質問で指摘したとおりです。
 また、国においても事業仕分けの第二弾として国等が所管する公益法人についても厳しい精査が行われると聞いております。
 そこで、平成22年度予算編成にあたり、我が県の公益法人等への法令外分担金について、精査の結果としてどのような見直しが行われたのか、お伺いします。

2 県債残高に対する考え方について

(1) 次世代負担の考え方について

 平成22年度当初予算の歳入は、地方交付税等の1,158億円の増額に伴い、要調整額50億円が解消されるとともに、平成30年度までの要調整額も、全体で565億円減少することが見込まれています。
 その反面、法人県民税、個人県民税をはじめ県税収は伸び悩み、さらには、一般会計、特別会計、公営企業会計の県債残高合計は4兆9千億円を上回り、利子負担は803億円を超えるとのことです。
県債残高に関しては、先の竹内議員の一般質問に対して、知事から「県債は、国の赤字国債と異なり、基本的に公共施設等の整備財源に使っている。利用可能性のある世代で負担すべき起債については、ある程度は後世代の負担を仰がざるを得ない。それに対する負担を利息と合わせて元利償還していく今のシステムそのものの基本はそれほど歪んでいるとは考えていない。」という趣旨の答弁がありました。
 人がその地で生活を営んでいくためのライフライン等社会基盤を整備する起債であるから、次世代にも負担を仰いでいくということは理解できます。しかし、全ての公共施設等が後々の世代も恩恵を受けるという理由だけをもって、当然のように次世代に大きな負担を求めることには疑問を感じます。 
 例えば、みどり公社については、国の政策という面もありますが、46年が経過した現在、新行革プラン策定の際にも議論になったように、市中の金融機関からの資金調達が困難な状況であり、平成30年度から50年度までの県の貸付残高が500億円を超え、平成72年度に県の貸し付けが終了するという計画となっています。
 みどり公社の事例は、長期間にわたり次世代に負担を求めるという点で、果たして責任ある対応と言えるのか疑問ですが、これと同じように、20年後、30年後の県財政の状況や地方自治体のあり方は、誰にも予測できず、経済情勢の悪化や多額の県債の償還のために現在提供している様々な行政サービスが県民に十分に提供できないという事態も生じないとはかぎりません。
 そこで、公共施設等の整備財源として、県債を発行し次世代負担を求めるには、その施設等の性質や負担を求める妥当性について十分精査していくことが大切であると考えますが当局のご所見を伺います。

(2) 地方分権時代の財政運営について

 次世代への負担軽減に配慮することは大切であると申し上げたところですが、そもそも、臨時財政対策債や減収補填債も含め、県債残高に対する交付税措置率は平均で約40%で、残り60%は県の実質的な負担とのことで、交付税措置の名の下に、これまで本県をはじめ多くの自治体が起債によって財政の逼迫を招いてきたという事実を改めて肝に命じておくことが必要であり、国が誘導する財源対策を続けることが地方分権の時代にふさわしいと言えるのか非常に疑問です。
 現行の地方財政システムの中で、取り得る手段を最大限活用するということは理解いたしますが、その一方で地方分権の必要性を訴える声がこれまでになく大きくなる中、現行の地方財政システムを最大限活用すると同時に、国の権能にぶらさがらない自立した将来の兵庫県のあるべき姿を提示していくことが今求められています。
 県の平成22年度の重要施策においても地方分権の推進を目指すとし、また知事の提案説明においても兵庫が自立し新時代を先導する、また、県民の皆様とともに新たな兵庫像を描きながら取り組むと宣言されています。
 これらを実現していくためには、これまでの考え方を転換し県債残高、すなわち借金を減らすことを主眼においた財政運営に方向転換していく姿勢を県民に示していくこと、県民の信頼を勝ち取ることが大切と考えますが当局の所見を伺います。

3 公社等の見直しについて

(1) OB職員について

 新行革プランでは、公社等の運営の合理化・効率化の一環として、OBの活用等により、県派遣職員やプロパー職員を削減する方針が示されています。
 これも先の一般質問での知事の答弁ですが、OB職員活用に関する考え方として、「国の天下りは定年前のポストをどう確保するかという課題が基本となっているが、県が定年退職したOB職員を常勤の役員等に任用しているのは、これまでのOB職員の知識・経験を活用する、また、現役職員を派遣するよりも給与等が低く抑えられる」ということが主な理由だとしています。OB職員の方々がこれまで培ってきた技術やノウハウを有効活用することはもちろん結構ですが、天下りの問題は知事の答弁にあった国の天下りが定年前のポストをどう確保するかということが課題になっているだけではありません。
 公社等のプロパー職員は2,000人以上に上る中、公社等へのOB職員の再就職は派遣職員の問題と同様、公社等の運営に長期的な展望を持ちにくいことや経営責任を感じにくいという欠点があります。そのことが長年公社で働いているプロパー職員の士気をそぐことになりかねず、実際にそのような不満も出ていると聞いています。
 また、OB職員はよく言えば県と連絡を密に取れるという反面、悪く言えばどうしても本庁の顔色を伺わざるを得ないという弊害も指摘されています。従って、OB職員を有効活用するためには、どの団体のどこに配置し、どんな業務に従事してもらうことが最善なのかを十分精査すべきだと考えます。
 昨年9月の公社等経営評価委員会報告書を見ると、今年度のOB職員数を平成20年度と比較しても増加している団体が少なくありませんし、新行革プランでもOB職員の積極的な活用が掲げられています。県民の立場から見れば各団体がOB職員の受け皿化すれば、いわゆる天下り団体ととられる可能性もあり、思いは別としてそのための財政支援ではないかとの厳しい批判を受けることにもなりかねません。
 経営評価委員会の報告書は、県行政と密接な関係のある公社等のうち、20法人について個別ヒアリングを行い、6項目に着目して提言を取りまとめていますが、その1項目に「公社等への人的支援・財政支出等の公的関与の必要性、事業実施の意義について、県民への説明をさらに果たすべきではないか。」と指摘しています。
 以上のようにOB職員の方々の活用方針はより慎重に検討し、県民の批判を受けないよう格別の配慮が必要であると思いますが、以上を踏まえて、県では、公社等への人的支援、とりわけOB職員の活用について、経営評価委員会の提言も十分に配慮した上で、今後、どのように取り組んでいこうとしているのか、所見をお伺いします。

(2) 土地開発公社について

<1> 県との関係について

 土地開発公社は、他の外郭団体とは事情が異なり、自治体が使用する公共用地の先行取得が主業務で、事業の方向を決める権限を有せず、自治体に対してノーと言えない、いわば自治体の一部門、別働隊に過ぎないという見方ができます。従って公社の経営改善はひとえに自治体の支払い能力にかかっています。
 新行革プランでは、土地開発公社の保有地980ヘクタールを県有環境林特別会計で管理することが示されましたが、このほか、昨日の本会議では県立尼崎の森中央緑地用地の取得(買い戻し)が可決されると同時に、県は土地開発公社運用受託金100億円を収入とし、同時にその100億円を県債管理基金積立金として計上するという、県と土地開発公社の間で、グループファイナンスとでも言うべき複雑な資金のやりとりが行われています。このような県と土地開発公社の関係は、一般県民には理解しがたく、非常にわかりにくいものと言わざるを得ません。
 先日、大阪府においても、府の包括外部監査人から土地開発公社等に対する短期貸付が実態は長期貸付で不当な財政操作にあたるとして早期是正を求める報告書が府知事に提出され、歳入歳出という財政の根幹の数字を操作しており不当である。黒字転換を果たした一般会計予算もこの操作がなければ財政再建団体に転落していたと厳しく指摘しています。
 ともすれば県民にわかりにくいこのような県と土地開発公社との関係については、今後よりわかりやすく、きちんと説明して県民の理解を得られるようにすべきと考えるとともに、他の公社においても類似の事例があるのであれば合わせて是正するべきであると考えますが、当局の所見を伺います。

<2> 事業量見込みと存廃について

 新行革プラン策定にあたり、行革特別委員会でもたびたび指摘がなされましたが、地価が右肩上がりの時代には、土地開発公社は議会の議決を待たずに公共用地を取得できるというメリットがあり、バブル崩壊後も土地所有者にとっては、土地を買い取ってくれるありがたい存在という面もありましたが、今やその存在意義は薄れ、財政負担だけが重くのしかかり、県の将来負担比率にも影響を与えているというのが現状です。
 土地開発公社は、社会経済情勢や時代の変化とともに、その役割を終えたと言っても過言ではなく、事業の清算に向けて重い腰を上げる自治体が増え始めており、ピーク時の平成11年には全国で1,597公社が存在していましたが、20年には1,075公社に減少しており、都道府県レベルでは神奈川県、熊本県の公社などが既に解散しています。従って、他県の土地開発公社と違ってその規模が大きいから公社を存続させるのではなく、規模が大きいからこそ整理縮小していくことこそが必要ではないかと考えます。
 公社等経営評価委員会の報告書でも、土地開発公社については、「平成25年度以降は事業量が減少することから、これに応じて体制の縮小を図るとともに、公社の機能や用地取得の受託状況を見極めたうえで存廃についても検討すること。」と指摘しています。
 そこで、今後の土地開発公社の事業量見込みと併せ、存廃に対する考え方について、当局の所見を伺います。

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