上野英一議員が質問(予算審査・教育委員会)を実施

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (教育委員会)
2010年3月11日(木)

1 実効ある「ひょうご教育創造プラン」の推進について

(1) 子どもたちへの認識について

 今定例会の代表質問で我が会派の藤井幹事長から、『「ひょうご教育創造プラン」策定後、初めてとなる予算が提案されましたが、兵庫の教育をより前進させるために、また、教育施策を実効あるものとするために、どこに重点を置いて取り組もうとしておられるのか』との質問を行いました。
 それに対して大西教育長は、「プラン実現のため、子どもたちの規範意識の低下、基本的生活習慣の乱れ、学ぶ意欲の低下、さらに教職員が子どもと向き合う環境づくりなど、現下の教育現場におけます様々な課題を踏まえ、プランの着実な推進に向け、選択と集中によります施策の効率化を図りながら、現場重視の視点に立ち、平成22年度当初予算は、取り組んだところでございます。」とし、『プラン重点目標に基づき、子どもたちに自ら考え行動する力など、いわゆる『生きる力』を身につけさせることを重点に置きました。具体的には、1点目には知識・技能の定着、それらを活用する力や学習意欲、学習習慣など、確かな学力の確立を目指す「学力向上対策の充実」、2点目には、小中学校の円滑な接続を目指す「兵庫型教科担任制の推進」、さらには3点目には、高等学校におきまして、中高連携やスペシャリストの育成、理数教育によります学力向上等、テーマに沿って生徒のやる気を引き出します「魅力ある学校づくりの推進」、さらには4点目には、豊かな心を育みます、兵庫教育の特色でもございます「兵庫型体験教育の充実」の4つの施策を重点的に取り組むことといたしました。』と答弁されました。
 そこでまず、答弁にあった子どもたちの規範意識の低下、基本的生活習慣の乱れ、学ぶ意欲の低下の背景と現状認識について、当局にお尋ねいたします。

(2) 「生きる力」について

 従前の教育改革プログラムでは、「生きる力」を育むという表現が使われていたと思います。今回の「ひょうご教育創造プラン」、大西教育長は、『プラン重点目標に基づき、子どもたちに自ら考え行動する力など、いわゆる「生きる力」を身につけさせることを重点に置きました。』と答弁されています。
 私は、以前、文教常任委員会で『まず「生きる力」、人間社会に生まれてきた意義と課題、役割、人間社会で生きているんだとの自覚、そのことを学ばせることが生きる力をつけさせることだし、その自覚ができれば自ずと確かな学力が付くはずだ。』と申しあげました。
その点において、まったく同じ認識だと思うわけですが、「生きる力」についての認識をお尋ねいたします。

(3) 魅力ある学校づくりの推進について

 「県立高校教育改革第二次実施計画」の着実な推進として、4つの柱を挙げられていますが、その中身は、いかにして授業に生徒を引き込む、あるいは、授業に集中させるかだと思いますが、ここでは「高等学校の魅力ある学校づくりの推進」についての基本的な考え方についてお尋ねいたします。
 今定例会の一般質問で我が会派の竹内議員が、県立高校に次世代リーダーを養成する特色校を創設することの質問、いや提言を行いました。
 また、私たち民主党・県民連合は、昨年2月に「道立登別明日(あけび)中等教育学校・・・特色ある中高一貫教育」について視察を行いました。この学校は、19年4月に道内全域を対象として(寮も完備)開校した中等教育学校(一つの学校で一体的な中高一貫教育)という特色を持っているほか、イマージョンプログラム(英語で他教科を指導)の実践をはじめとした国際理解教育、北海道の良さを学ぶ地域学習、習熟度別学習・少人数授業・チームティーチングなど特色ある学校づくりに取り組んでいます。
 教師も生徒も道内から選ばれたエリートであり、先生の話を聞くと問題行動などは一切無くそれぞれが自立した学校生活を送っているとのことでした。事実、子どもたちの表情は実に穏やかで聡明な雰囲気が漂っていました。校歌も、シンガーソングライターの大黒摩季の作曲であり、現代アート・ポップスで超現代的であると感じました。確かに、ハードの面、ソフトの面、生徒・教師も大変優秀で意欲も旺盛であり、教育効果も上がっていると想像しますが、私はもはやこれは公立学校が果たすべき役割ではないと感じました。
 そこで、学区の見直しも検討中とのことですが、普通科高校の中には、竹内議員の言うところの強力な進学校があってもいいのではないかと考えますが、高等学校の魅力ある学校づくりの推進について、基本的な考え方をお尋ねいたします。

(4) 道徳教育について

 教育委員会の平成22年度重要施策では、『児童・生徒が、郷土に誇りを持ち、社会の中で自己の責任や義務、役割等に対する自覚を深めるため、新たな兵庫の先輩の多様な生き方考え方等に触れる「道徳教育副読本」を作成し、「道徳の時間」を中心とした道徳教育の充実を図る。新学習指導要領で盛り込まれた「生命を尊重する心」や「規範意識」の育成など重点的・体系的に指導すべき分野について作成した道徳教育指導の手引きを活用し、指導方法の工夫改善や推進体制作りに取り組む。』とされています。
 私は子どもの頃よく世界偉人伝や伝記物語、例えばリンカーン、エジソン、キュリー夫人、ノーベル等々、日本では、野口英世、松下幸之助、乃木将軍等々、成人してからはPHP等で日本の各界の人たちの生き様に敬服したり感銘を受けたりしました。
 また先日、文教常任委員会で県立農業高校を視察いたしましたが、生徒たちが育ててきた鶏の解体の実習をされており、以前に実習を受けた女生徒の命をテーマとした作文「ニワトリ」が、「心つないで」という副読本に採用されたとの話をお伺いしました。
 そこで、作成中だとは思いますが、本県が独自に作成する副読本の検討状況、作成スケジュールについてお尋ねいたします。

(5) 人権教育について

 平成22年度重要施策では、『身近な暮らしの中での人権問題を捉えるため、地域の人々の生き方や考え方、歴史などの心豊な学習素材を活用した学習資料を作成し、県下に発信する「地域に学ぶ人権学習推進事業」を実施する。』とされており、また、兵庫県人権教育及び啓発に関する総合推進指針では、「身近な人権課題として (1)女性 (2)子ども (3)高齢者 (4)障害者 (5)同和問題 (6)外国人 (7)HIV感染者等(8)その他の人権課題」に分類されています。
 また、各人権課題については、『各個別の計画等に基づきそれぞれの課題に対応した施策の推進に努めるとともに、女性センターやこどもセンター、のじぎく会館等の県の機関や国際交流協会、社会福祉協議会等の関係団体などと連携を図りつつ、啓発をはじめ研修、相談、研究事業などに取り組んできました。また、学校教育等においても、同和教育を中心とする人権意識の高揚を目指す教育の充実に努めてきました。』と記されています。
 そして個別の(5)同和問題では、「同和問題についての県民の理解と認識は着実に定着しつつありますが、人々の差別意識については、結婚問題、就職問題を中心に課題も残っています。今後は、こうした差別意識の解消を図るため、これまでの教育及び啓発の中で積み上げられてきた成果等を踏まえ、すべての人の基本的人権を尊重していくための人権教育及び人権啓発として発展的に再構築し、学習教材や研修手法、啓発手法などに工夫を凝らしつつ、学校、地域、職域などでの様々な機会をとらえた教育及び啓発に取り組んでいきます。その際、同和問題を自ら解決すべき身近な課題としてとらえられるよう、この問題の固有の経緯を踏まえ、具体的な課題に即して、現状の正しい理解と認識を深める教育及び啓発を進めていくことが大切です。また、行政が主体性を堅持し、県民の信頼を高めていくとともに、えせ同和行為の排除や自由な意見交換のできる環境づくりを進めていくことが大切です。」とされています。
 そこで、学校教育等における同和問題に対する取り組みの現状はどのようになっているかお尋ねいたします。

(6) 食育・米飯給食の推進について

 ある政党の月刊誌を読んでいますと、米飯給食で、いじめが消えた! 性格、体力、学力向上の”奇跡”と出ていました。記事では、『「いま、日本の教育界で一つの”奇跡”が話題となっています。ある町の小学校で給食を完全米飯に変えた。すると、「いじめがなくなった!」という。さらに子どもたちの性格、成績もめざましく向上した。この画期的な実験に取り組んだ一人の教育者、大塚貢氏。長野県真田町の前教育長。彼は、その実験結果を日本総合医学会、第63回東京大講演会で発表。教育界は、騒然となっています。その演題は「なぜ、子どもも大人も凶悪犯罪を犯すのか」。さらに副題は「食事によって心と体を甦らせる」(月刊総合医学No.42)』となっていました。
 その記事の内容を会派内で話し、会派で真田町に視察にいきました。さらに岡議員から、この3月3日に川西市の歯科医師会が大塚氏を呼んで講演会が開催されること、我が会派は、従来から教育委員会に対して米飯給食の重要性、取組の強化を訴えてきたこと、を聞きました。
 それは、国も県も日本型食生活を11年も前から進めてきていますが、これは生活習慣病の低年齢化等、何かと課題が明らかになってきた昨今の食生活を是正し、現代病を誘発するとも言われている食生活の現状を改めようとするもので、国の食育基本法のもとに県が制定した条例によって、食育推進計画の策定を市町の努力義務としています。
 しかるに、米飯給食の拡大に向けた3カ年の助成制度も今年度で終了する上に、また、米粉用米新規需要創出モデル事業の実施で、学校給食おいて、新たに新規需要米を使用した米粉パンを提供する場合に小麦パンと米粉パンとの差額約10円を助成する予算が計上されており、ほぼ50トン分の需要拡大を見込んでいます。
 しかし、日本型食生活の基本はごはんであり、ごはん食とパン食とは副食が全く異なり日本型食生活とは相いれません。米粉用米新規需要創出ということは理解いたしますが、安易に学校給食に受け入れることは理解できません。米飯給食の拡大は、日本食の奨励であり、それが先ほど紹介いたしました「米飯給食で、いじめが消えた! 性格、体力、学力向上の”奇跡”」です。
 そこで、教育委員会の食育についての哲学、すなわち学校における食育の推進にあたり、米飯給食の重要性と米粉パンの導入について、どのような見解をもっておられるのかお尋ねいたします。

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