池畑浩太朗議員が質問(予算審査・農政環境部)を実施

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (農政環境部)
2010年3月9日(火)

1 木材流通の効率化について

(1) コスト削減について

 県産木材の利用を促進することは、森林の育成、伐採、利用を円滑に循環させ、地球温暖化防止、県土の保全等、森林の持つ多面的機能の発揮につながる重要な課題であります。県内における木材の地産地消と、生産から加工、流通、消費まで一貫した資源循環型林業の構築を積極的に進めるのであれば、林業は必ずや再生できると思います。
 このために重要なのが、まずコストの低減だと思います。コスト低減を図り、山林所有者の収益を上げなれれば、再生産のサイクルは実現できません。
 わが国の木材流通は、山から製材工場の間に、原木市場を介するのが一般的で、この流通形態が高コストの一因であると指摘されています。あるレポートによると、スギ材で製材工場着の丸太価格が1立米当たり12,000円前後とすると、運送経費や原木市場の手数料によって、山から製材工場に直送する場合と比べて、3,000ほどが余分に掛かっているそうです。原木価格の4分の1に相当する額です。伐採や搬出コストの削減とともに、この流通コストの削減を図る必要があります。今年度の国の補正予算により、原木流通経費への助成事業も始まったそうですが、流通形態そのものの改革が何より必要です。
 このような中、本県では、宍粟市一宮町に「県産木材供給センター」の整備を進めています。山から製材工場への原木直送による流通の合理化、大規模な製材工場の設置と品質の向上などを図るもので、大いに期待するものですが、そこで、まず、このセンターにより、どの程度のコスト低減が図られると見込んでいるのかお伺いします。

(2) 原木取扱量設定の考え方について

 このセンターの計画では原木取扱量を12万6千立米としていますが、この12万6千立米という量はどのような量なのかについてお聞きします。
 林務課作成の資料を見ますと、近年の県内全体の素材生産量は針葉樹で年間18万立米前後です。つまり、このセンターの能力は、県全体の生産量の70%に相当するわけですが、これは、現在の生産される素材の70%をこのセンターに集めようということなのでしょうか、それとも将来的な素材生産量の増加を見込んでいるのでしょうか。
 同じく林務課作成資料には、「人工林の林齢構成は41~50年生がピークとなっており、伐採可能な人工林が急増しつつある」と記述されており、この41~50年生の森林は間もなく伐採期を迎えるように思いますが、このセンターの原木取扱量設定の考え方について伺います。

2 みどり公社の分収造林事業について

(1) 借入金の縮減について

 公社設立の目的は農地保有の合理化、農業後継者の育成や森林整備事業に寄与するとされているようですが、今回は、分収造林事業について特に伺います。
 「新行革プラン」を見ますと、公社の平成18年度末の借入金残高は約620億円あり、このうち540億円が造林事業での借入金で、さらにその内訳としては、市中金融機関からの借り入れ分が300億円、農林漁業金融公庫(現日本政策金融公庫)からの借り入れ分が130億円、残りが県からの借り入れ分という状況であります。
 公社では、例えばスギでは伐採期を植栽から80年後とし、保育している森林の伐採がすべて終了する時期を平成90年としています。そして、その期間の収支として、伐採収入を約1,000億円と見込んでいるのに対して、費用としては、植栽から伐採までの事業経費が約650億円、借入金の支払利息が約1,130億円としています。その結果、670億円もの赤字が発生することになり、そのため、県が借り換え資金を融通し、有利子負債を圧縮することによって、約350億円の利子負担の軽減を図ろうとしています。貸付金として、今年度は200億円が、22年度にも245億円が予算計上されています。
 しかし、県自体が基金を取り崩しながらのギリギリの財政運営を迫られている時ですから、公社は、県からの資金に頼るのではなく、自らの資産で負債を減らすことを考えるべきではないでしょうか。つまり、現在の計画では、スギでは伐採本格化を平成55年頃としていますが、一般にスギは45年ぐらいで伐採利用が可能とされており、伐採可能な森林がこれからどんどん増加することを考えますと、伐採時期を少しでも前倒しし、その伐採収入によって負債の圧縮を図るべきではないかと考えます。特に今年中には県産木材供給センターも稼動するわけですから、この施設を有効に活用するという観点からも、このような考え方はできないのか、ご所見を伺います。

(2) 分収造林事業の見直し計画について

 新行革プランでは、造林事業を抜本的に見直すとあります。何を以って「抜本的」というのか、よく分かりませんが、いずれにせよ、この行革期間に一定の成果を上げなければなりません。
 造林事業は、そもそも戦後復興期の国策として始まったと伺っていますが、それでも、みどり公社が事業者として実施してきたわけですから、事業見直しについても、理事長が判断し、責任を持って実施しなければなりません。理事長が短期間で次々に交代するようでは、誰もジョーカーを引きたくないわけですから、結果的に重要な経営判断が先送りにされてしまうといったことも考えられるのではないでしょうか。もし、理事長が経営判断できないというのであれば、この際、抜本的な見直しとして、公社の造林事業、そのものを解体してはどうかと考えます。
 新行革プランでは、造林地を①収益性が高く、その収益で再造林を行う「経済林」、②収益性が低く、伐採しながら広葉樹化する「環境林」、③収益性が見込めず、伐採しない「自然林」、この3つに区分するとしていますが、それなら、「経済林」は地元の森林組合などへ事業譲渡し、また「環境林」は今ある木を伐採するまでは県が県営事業として引き継ぎ、そして「自然林」については現時点で分収契約を解約する、このように整理することも可能ではないかと思いますが、そこで、今の事業見直し計画が本当に抜本的だと言えるのか、公社を所管する立場としてご所見を伺います。

(3) 行革プランの総点検での検討について

 林家が叩かれたとしてもどんどん税金で穴埋めすることよりは、少し考えを大きく改めて、来年度の行革プランの総点検の中でもですね、もう一度考えていただけたらいいかなと私自身は考えております。
 そこで、今のご答弁を踏まえましてちょっとお聞きしたいんですけど。今県財政のために、今これが造林業の赤字を減らすことが、県財政の中で、県民のためにはこれが最善かということを、財政当局に一番お聞きしたいと思っておりまして、今のご答弁を踏まえまして、今の状況がですね最善かどうかもう一度お聞きします。

3 戸別所得補償制度について

 民主党が政策公約として掲げた戸別所得補償について兵庫県としてどのような対応をとの質問させていただきます。
 戸別所得補償の導入の大きなポイントの一つは、コメ政策の大転換です。農家の高齢化等により、耕作放棄地の増加や深刻な担い手不足が生じていますが、これまでの減反政策もこの状況を助長した一因ではないかと思います。
 米価の下落が続いており、コメ農家の所得は下がっていますが、この制度によって差額が支払われ、所得が補償されれば、農家はコメ作りを続けることができ、水田を有効に活用することができます。
 また、小規模な兼業農家を戸別に支援すると、農地の集約化が進まないという意見もありますが、この全国一律単価による助成は大規模農家に有利に働くので、既存の施策とリンクさせることで、矛盾なく政策を進めることができると思います。
 一方で制度のデメリットを指摘する声もありますが、どのような制度でもデメリットはあるもので、いずれにしても、農家と十分に意見交換を行い、方向性を定めていくことが重要です。
先日の代表質問でも、我が会派以外の会派から戸別所得補償制度について兵庫県としてどのような対応をとのご質問がありました。そこで知事並びに副知事の答弁では、「この対策の活用により農業経営の安定が図られることを期待している。説明会の開催等により、徹底的な制度周知と加入促進を図る。」と答弁されました。
 そこで、様々な地域性があり、様々な農家が存在する中で、地域の実情に沿った戦略性のある施策展開にために、例えば制度説明会においても、「こうすればこれだけの交付金がもらえますよ」といった無機質な説明ではなく、農業施策の新たな方針をしっかりと示し、意見を交換し、農家の理解を十分に深めていただく、そのような姿勢で今後、説明会開催をはじめ、事業実施に当たっていただきたいと強く思いますが、当局のご所見を伺います。

4 県産農産物の輸出について

 最後に農産物の輸出についてお伺いします。
 世界的な日本食ブームや目覚ましい経済発展を遂げるアジア地域の富裕層の増加により、日本産農産物の輸出拡大のチャンスが増大していますが、本県では、高品質な県産農産物、またその加工品の輸出促進に取り組むとし、平成17年度に「兵庫県農林水産物・食品輸出促進協議会」を設立しました。
 これまでに、台湾では「フード台北」への出展や台北市内の百貨店における「ひょうご農林水産フェア」の開催を通じ、淡路のタマネギや県産山田錦を使った清酒等を輸出してきましたし、コーディネーターを設置して、きめ細かな情報収集と現地業者との商談のサポートを行っています。また昨年は、8月に香港で開催された「フード・エキスポ」に農水産物や加工食品等を出展し、中国市場における販路開拓に向けた取り組みを始めたと承知しています。さらに、来年度はこれまでの取り組みに加えて、広東省での現地調査や商談会を実施するとしています。
 そこで、近年勃興する近隣アジア諸国・中国・インドなどへの県産農産物の輸出について、その可能性をどのように認識されているのか、ご所見を伺います。

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