池畑浩太朗議員が質問(予算審査・教育委員会)を実施

第304回2月定例会 予算特別委員会質問 (教育委員会)
2010年3月11日(木)

1 専門高校について

(1) 専門高校の併設や改編について

 まず、私も以前、勤務していたことがある、専門高校のことについて伺います。専門高校については、戦後の高度経済成長期において、産業界のニーズに応じた職業教育を行ってきたと認識しております。
 しかし、就業構造等の環境変化に伴い、求められる専門知識もより高度なものとなり、それと同時に知識に裏打ちされた専門性や創造力も求められる時代になってきたかと思います。
 そういう中で、兵庫県においても、専門高校の見直しを進める中で、県下に多くあった工業、農業、水産、商業等の専門高校が他の学科との併設や総合学科への改編が行われてきたのではと考えます。例えば、県内の農業高校では、氷上高校、淡路高校等が、単独の農業高校から他の専門学科との併設や、総合学科へ改編した高等学校となってきています。
 このことは、少子化の進展等に対応した生徒募集の観点からの変更という要素が大きいのかと推察しますが、まず、専門高校の併設や改編の経緯とその現状について伺います。

(2) 農業高校や工業高校の卒業後の進路について

 専門高校については、時代に即応した一定の見直しが進んでいるものの、卒業後の進路の状況を見てみると、専門高校としての機能を十分に発揮できていないのではないかと思います。
 そういう中で、専門高校のうち農業高校と工業高校の現状を比較してみると、平成21年度学校基本調査によると、高校の工業科卒業の生徒2,061人中、建設、製造、電気、通信、運輸等の関連業務で就職した人は約8割の1,741人である反面、農学科卒業の生徒については、卒業生445名中農林業に就職したのはわずか9名であります。
 農業と工業の産業の構造的な差を一定考慮しても、工業高校卒業後は即戦力として産業界で対応できるが、一方、農業高校は卒業後すぐに就農できている人は少なく、例えば、卒業後、県の農業大学校等の機関で実践的な勉強をしてからでないと、就農にはつながっていない現状にあると考えられ、この結果を踏まえた改善が必要ではないかと思われます。
 そこで、専門高校卒業後の学生の進路の現状と、その現状に関する教育委員会としての評価を伺います。

(3) 農業高校の今後について

 農業分野について、産業として新卒者の受け入れ状態がまだ十分でない面はあると思いますが、これから重要になっていく、成長が期待される分野であることは間違いないと思います。
 そういう中で、県外の高校を見てみると、広島県の西条農業高等学校では、日本一の農業高校、農業分野のリーダー育成を大きな目標として、生徒が進路を主体的に決めることができるよう、資格及び検定取得や高度な知識・技能の習得に具体的な目標を立てて取り組んでいます。
 一方、兵庫県の農業高校においても、いろいろな取り組みをされていると存じますが、農業簿記や実務面での技術習得等、本当に就農に必要なことは、卒業後に、別の機関で習得している部分も多いのではないかと思います。
 このようなことから、兵庫県においても、入学時において真剣に農業をやっていこうと考える生徒のためにも、卒業後にすぐに農業に関する職業に従事できるような教育、例えば1校、1クラスだけでもいいと思いますので、そのような教育が受けられる環境整備ができないかと考えます。
 そこで、農業界から求められるニーズや、卒業生の就職状況を踏まえ、農業高校について改善が必要と考えますが、今後の取り組みについて伺います。

2 教育支援体制の充実について

(1) 児童生徒の問題行動等への対応による教職員への負担について

 昨年末に発表された兵庫県下の児童生徒の問題行動の状況によると、対教師暴力や生徒間暴力などの発生件数は小・中・高校全体で3,749件、前年から約1.2倍に増加しています。一方、いじめ認知件数は前年の約7割に減少しているものの、社会問題としてはますます注目されてきており、それに対応する学校の先生の負担は大きくなっているのではと危惧します。
 また、学校に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返す、いわゆる「モンスターペアレント」への対応など、学校が対応しなくてはならない問題は多種多様化してきていると思います。
さらに、以前から指摘されているが、部活動の指導等で土日祝日もない状況で働いている先生も少なからずおられると聞きます。
 このようなストレスのかかる業務、休みがとれない状況の中で、平成20年度の学校の先生の病気休職が202人、うち精神疾患によるものが約半数を占めているとのことであります。
 また、文部科学省の調査によると、2008年度の新任教諭のうち1年の試用期間後に正式採用にならなかったのは315人と過去最多であり、そのほとんどが依願退職で、理由は「学生時代に描いた教師像との現実のギャップが埋められなかったのではないか」との各教育委員会からの報告があったと聞きます。教師は子供に接するのが最も重要な職務だが、それ以外の様々な業務が増えているのだと思います。
 そこで、教育委員会として、このような教育現場の現状について、どのように把握し、どう認識しているのか、まず伺います。

(2) スクールソーシャルワーカーについて

 教育委員会においては、子供達への行き届いた教育のために、このような状況にある学校現場をバックアップし、負担を軽くするよう支援を充実してほしいと思います。
 そのような中で、児童生徒の問題行動等の解決に向け、児童生徒の可能性を引き出し、自らの力で解決できるような条件作りに参加するというスタンスで、児童生徒と環境の双方に働きかけることを特性とした、スクールソーシャルワーカーの活用が各自治体において、広がってきています。
 スクールソーシャルワーカーは、1900年代初頭、アメリカのニューヨーク市において、多数の児童が過酷な労働を強いられ、教育機会を奪われていた社会状況の中、教育を受けることができるよう支援する活動を行ったことが起源と言われ、日本では福祉と教育の連携に関する取り組みが行われる中で、昭和56年に埼玉県所沢市で取り組み始めたのが初めてであり、大阪府では平成17年度から、兵庫県では平成18年度から導入されています。
 この活用は、問題行動等に対して毅然とした対応を前提にしつつ、児童生徒を取り巻く環境と行動の関係を分析し、状況に応じて環境改善を図ることで、事象の根本的解決につながる有効な手段と考えますし、教職員の負担軽減に大きく寄与するものと考えます。
 そこで、県におけるスクールソーシャルワーカーの配置状況、活用状況とその評価及び今後の導入拡大についての考え方を伺います。

(3) 教育現場支援の充実について

 スクールソーシャルワーカーの活用は、確かに有効な手段かと考えますが、先にも述べましたように、現在の学校現場において顕在化している問題は多種多様であり、あらゆる角度から有効な手段を検討し、教育現場への支援を行っていく必要があると考えます。
 また、一方で、現在顕在化してきている児童生徒を巡る問題は、いじめ、児童虐待、麻薬等、児童生徒の生命に影響を及ぼす問題を初め、事件が発生すると重篤な結果を招くことが多いと思われることから、社会問題として顕在化し、児童生徒に問題が波及する前に、児童生徒への注意喚起はもちろんのこと、学校現場で問題が顕在化した場合の対応策、または現場の支援策等も検討しておくべきではないかとも考えます。
 そこで、新年度に新たに取り組もうとしている教育現場への支援策を含めて、今後支援が必要となってくる分野についての認識を伺います。

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