掛水すみえ議員が質問(決算審査・財政状況)を実施

第310回9月定例会 決算特別委員会質問 (財政状況)
2011年10月7日(金)

 決算の時期になると、新聞紙上に「県の2010年度実質単年度収支 3年連続で黒字確保」の文字が躍ります。しかし、財政規模に対する後年度の出費や負債の割合である将来負担比率は350.2%、収入に対する借金返済の割合を表す実質公債比率は昨年度に比べて2.4%改善しているものの、3ヵ年平均では0.3%悪化し、21.0%と財政健全化比率は依然として全国ワーストに近い厳しい状況が続いていると文は続きます。見出しの「黒字」という表記に大きなインパクトがあり、赤字に比べて黒字の響きが良いに決まっていますが、県財政の状況を県民のみなさんに情報としてしっかり流し、今後の県政運営の厳しさを県民のみなさんと共有していかなければなりません。
 昨年度策定しました「第2次改革プラン」を着実に推進していくためにも、県の説明責任が大きく求められます。私は、この度、財政状況について質問するに当たり、10年間の財政の動きを調査しました。この10年間は井戸知事の県政運営の期間でもありますが、この間、政府の三位一体改革による地方交付税の大幅削減やリーマンショックをはじめとした経済不況・景気低迷など、地方財政は国の政策に翻弄され続けました。ようやく、「国と地方との協議の場」の設置や国庫補助金における義務づけ・枠付けが見直されたり、地方の自由度が増すひも付き補助金の一括交付金化など、地方の自立を促す動きも見られ始めましたが、まだまだ不十分ではないかと感じています。
 また、16年前の阪神・淡路大震災からの復旧・復興において血のにじむ努力があったことも心に刻まれています。そして、今年3月11日に発生しました東日本大震災では大津波だけでなく福島第一原子力発電所の収束という重い課題があります。その上、台風12号・15号をはじめとした豪雨による災害が多発するなど、その後の復旧・復興に早期に取り掛かるという課題も山積しています。
 国・地方合わせての負債残高が900兆円に及ぶ中、限られた財源を有効に活用していくためには、事業における優先順位をどのように決定していくのかが鍵となります。県財政にとっても、目標達成のために施策推進されているとは思いますが、県実態に即した実効性ある財政運営をめざして、提言を踏まえて質問します。

1 国の補正予算に対する県の事業決定の流れについて

 2010年度は4度の補正予算が編成されました。10月には、国の緊急的な経済対策に対応して約149億円、12月には、国の円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策に対応して約737億円、2月には、追加措置として約46億円、3月には、東日本大震災対応として約6億円の補正予算が編成されました。
 国の補正予算について、昨年12月議会でわが会派の石井健一郎議員の代表質問において知事は、「現在の経済状況は、円高の進行・海外経済の下振れ懸念等により回復の動きが減速し先行きに対する懸念が強まっている。この度の国の補正予算は、切れ目なく機動的に対応していくため、雇用・人材育成・子育て支援・地域の活性化など喫緊の課題に対応し、地方の創意工夫を生かした単独事業実施も配慮し、国の財源措置を最大限活用し、一般財源負担が後年度も含めて生じないことを基本に編成した」と答弁されています。本来、補正予算は、災害・緊急時など予見し難い事態への対応として出されるものですが、実態としては国の補正予算には本予算をより充実させるものが多く含まれています。このような貴重な財源を効果的に活用するためには、県の実態に即した事業の決定が重要となることから、新たな視点での熟慮があったものと思いますが、県の一般施策と同様に、各部局から提案された内容に対して、予算当局が優先順位や県実態を踏まえた精査を経た決定がされているのか、国の補正予算を受けて編成する県の補正予算のプロセスについてお尋ねします。

2 地域活性化交付金について

(1) 地域活性化交付金に対する評価について

 地域活性化交付金は、2010年10月に閣議決定された「円高・デフレ対応のための緊急総合経済対策~新成長戦略実現に向けたステップ2~」において、「地域活性化交付金の創設」が盛り込まれたことを踏まえ、「住民生活に光をそそぐ交付金」と「きめ細かな交付金」が創設されました。
 「住民生活に光をそそぐ交付金」はこれまで住民生活にとって大事な分野でありながら、光が十分あてられてこなかった分野(地方消費者行政・DV対策・自殺予防等の弱者対策・自立支援・知の地域づくり)に対する地方の取り組みを支援する交付金として、「きめ細かな交付金」は、観光地における電線地中化等、地域の活性化ニーズに応じて、きめ細やかな事業を実施できるよう支援するとして、共に12月補正予算に提案され2月にも追加配分されたところでありますが、このような新たに創設された地域活性化交付金について、県としてどのように評価しているのか、ご所見を伺います。

(2) 「住民生活に光をそそぐ交付金」の使途について

 「住民生活に光をそそぐ交付金」では、ハード事業を排除するものではないとなっていますが、交付金充当額22億5000万円余を、消費者行政活性化事業基金・安心こども基金・自殺対策強化基金にそれぞれ1億円合計3億円の基金積み増しがあり、残り19億5000万余円の内、ハード事業の金額と割合を伺います。

3 減税補てん債・減収補てん債、臨時財政対策債について

(1) 減税補てん債の状況について

 本会議の質問においても県財政の逼迫した状況が明らかとなり、知事も「2014年(平成26年)が実質公債費比率のピーク」と答弁されています。
 それらの県債の中に、減税補てん債があります。1994年度からの個人住民税の特別減税による減収額や1999年度からの恒久的な減税による減収額等を補てんするために設けられた制度であり、その元利償還について交付税措置されるものです。
 これは、恒久減税の廃止に伴い2006年度発行をもって廃止され、後は償還を残すのみと聞いていますが、その現状について経過も含めてお伺いします。

(2) 臨時財政対策債の起債総額に占める割合の推移について

 臨時財政対策債は、地方交付税の原資不足を補うため、2001年度より制度化されたものと聞いています。県債残高が増加し、県財政運営に困難を伴う状況ですが、臨時財政対策債発行額の起債総額に占める割合は2001年からどのように推移しているのか伺います。

(3) 減収補てん債、臨時財政対策債の考え方について

 減収補てん債や臨時財政対策債は、歳入として計上されることにより分母が大きくなることから経常収支比率を引き下げています。経常収支比率の大きさが財政の硬直化を招くことになるわけですから、数値が下がれば、財政改善を印象づけることになります。
 2010年度の経常収支比率は94.5パーセントですが、減収補てん債と臨時財政対策債を除くと114.9パーセントとなり、20.4パーセントもかい離することとなります。同様に、2008年度では8ポイント、2009年度では17ポイントのかい離が生じています。2010年度公債費2714億5000万円余があり、臨時財政対策債などの影響により1378億7000万円余が交付税措置されています。国の財政も厳しい状況下にあり、2001年以降臨時財政対策債も増加傾向にあります。特に、2003年度の1027億円を上回っているのが、2010年度1900億円です。交付税で措置されるとはいえ、分母が大きくなることに対する懸念があると考えますが、ご所見を伺います。

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