◆20年2月定例会 討論②

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請願第11号に係る討論(賛成討論)[3月25日(水)]

迎山 志保 議員

民法750条は「夫婦は婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と規定し夫婦同姓を法律で求めています。外形的には夫と妻は平等ですが、実際は夫婦の96%は女性が改姓することで同姓となっており、間接的不平等な状況が続いています。国においても平成27年には導入に向けた改正等へ検討を進めるとした閣議決定がなされており、住民票やマイナンバーカード等へ旧姓併記ができる政令改正をしましたが、これはあくまでも旧姓を証明できるだけであり、実際は銀行口座を開くことさえもできず形ばかりのものに過ぎません。これまで国民の様々な意見を尊重するべきとして、改正法案の国会提出が見送られてきた経緯がありますが、近年国民感情は確実に変化しつつあり、皆さんも肌で感じておられるのではないでしょうか。
内閣府が2018年2月に公表した「家族の法制に関する世論調査」では、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた法改正について、賛成が42.5%、反対が29.3%であり、賛成は過去最高、反対は過去最低の数字となりました。世代別にみると反対が賛成を上回っているのは70歳以上のみで、結婚適齢期世代では反対は10%代にとどまり賛成が50%を超える結果となっています。そして直近の新聞社の調査などから明らかになっているのは年々この傾向が強まっているということであり、世論の大勢は導入賛成という現状です。ただ、先述の調査で導入に賛成とした人のうち実際に夫婦別姓を選択したいと答えた人は19.9%にとどまっています。これは別姓が良い悪いという議論ではなく、あくまで選択肢を増やすことに反対しない、という意味での導入賛成であることを示しています。家族の多様性を尊重し、個人の選択に寛容な意識が高まっている現状を私たちは受け止める必要があります。
夫婦導入反対の意見としては、別姓により家族の絆が薄れる、また子供がかわいそうだという声が聞かれますが、夫婦別姓にすることで崩壊するほど家族の絆はもろいものではないと思いますし、子供にとって「かわいそう」と言われることが一番かわいそうなのであって、全ての子供を社会が受け入れたらよいだけのことです。あるべき家族像を押し付けて結婚や子供を持つことを敬遠する人がいるならば、選択肢を用意して1人でも多くの国民が幸せな家庭を築き、自分の持てる能力を存分に発揮できる環境を整えることは私たちの責務だと思います。
実家の姓を残したい一人っ子の女性や姉妹がいます。姓を変えることによって自己喪失感や不利益や不便を感じる人がいます。姓を変えなければならないことを理由に婚姻を断念する人がいます。そんな方々へ思いを巡らすことはできないでしょうか。
この請願は新たな選択肢を作ろうとするものです。私は選択制であっても夫の姓を子供と一緒に名乗りたいと思います。そう考えない人の意見も尊重しようというだけのことです。多様性を尊び、全ての人を包摂して共に生きるしなやかな日本へと転換する試金石とも言える民法改正です。
議員各位のご賛同をお願いし、本請願への賛成討論といたします。

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